百人一首解説

【百人一首 84番】ながらへば…歌の現代語訳と解説!藤原清輔朝臣はどんな人物なのか

ながらへばまたこのごろやしのばれむ

憂しと見し世ぞ今は恋しき

【読み】

ながらへ(え)ばまたこのごろやしのばれむ(ん)

うしとみしよぞいまはこひ(い)しき

【84番】ながらへば~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

長く生きたなら、つらい今が懐かしく思い出されることでしょう。つらいと思っていた昔が今では恋しく思えるのだから。

【解説】

作者 藤原清輔朝臣は、父との確執など悩み多き人生を送っていたようです。

そんな作者が、『昔の憂き日々が今となっては懐かしいとさえ思えるのだから、この悩みも時が経てばきっと、、!』とポジティヴに詠んだ歌ですね。

「ながらへば」の「ば」は、仮定の『もし~ならば』を意味し、「憂しと見し」の「し」は過去の『思い出(回想)』を意味します。

藤原清輔朝臣とは、どんな人物??

平安時代末期の公家であり歌人です。

父である藤原顕輔が勅撰和歌集の撰者を務めており、清輔もこれらの仕事にあたっていましたが、互いに対立することがあったためか、思うように結果が出せなかったそうです。

しかし、51歳の時に自らの家の流派である六条藤家を継ぐと、リーダーシップを発揮し当時の歌壇をけん引する存在になりました。

また勤勉であったようで、普段から万葉集を繰り返し読んでいたそうです。

まとめ!

上の句 ながらへばまたこのごろやしのばれむ
下の句 憂しと見し世ぞ今は恋しき
歌人 藤原清輔朝臣(1104~1177年)
決まり字 ながら
決まり字数 3
収載和歌集 新古今和歌集

自ら激励し、(つらいこともあるけれど)前向きに未来へ向かう思いを詠んでいます。

現代においても、誰もが胸に留めておくべき『ポジティヴ・ソング』と言えますね!