歌人に会える百人一首
壬生忠岑
意味
あなたとの別れを惜しんで帰る道、有明の月はそしらぬ顔をしていました。そのときからというもの暁の時間になるとつらく感じてしまいます。
解説
当時の男女の逢瀬は、男性が女性のもとを訪れ、夜明け前に立ち去るのが習わしでした。
この歌には二通りの解釈があります。一つは、女性の態度が冷たく感じられたため、そのつれなさを嘆いているというもの。もう一つは、別れを惜しむ気持ちをよそに、容赦なく夜を明けていく月を「つれない」と見立てているというものです。
いずれの解釈にも共通しているのは、別れの切なさと、思い通りにならない恋への嘆きです。壬生忠岑は、『古今和歌集』の撰者の一人としても知られる歌人で、人の心の機微を繊細に描くことに優れていました。この歌からも、恋する人の名残惜しさや切ない思いを巧みに表現する、忠岑の豊かな感受性がうかがえます。
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