歌人に会える百人一首
儀同三司母
意味
「ずっと忘れない」という言葉は難しい約束でしょうから、その言葉を聞いた今日限りの命だったらいいのにと思ってしまいます。
解説
この歌は、「いつまでも忘れない」という恋人の言葉を信じたい一方で、人の心が変わりやすいことも知っているため、その言葉を聞けた今日この瞬間に命が終わればどんなに幸せだろう、と詠んだ歌です。将来への不安があるからこそ、今の幸せを永遠のものとして閉じ込めてしまいたいという、切実な恋心が表現されています。
作者の儀同三司母は、優れた教養と漢詩の才能を持つ高貴な女性でした。夫の藤原道隆との結婚や娘・定子の立后によって栄華を極めましたが、後には夫との死別や子どもたちの失脚によって一家は大きな苦難に見舞われます。その波乱に満ちた生涯を思うと、この歌に込められた「今の幸せを永遠に留めておきたい」という願いが、いっそう切実に感じられます。
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