歌人に会える百人一首
三条院
意味
不本意であってもこの辛い世を生き長らえたら、この夜更けの月を恋しく思い出すだろう。
解説
この歌は、藤原道長からの激しい譲位の圧力に加え、眼の病によって視力を失いつつあった三条院が、深い絶望と孤独の中で詠み上げた一首です。「たとえ不本意ながらもこの辛い現世を生き長らえたなら、きっとあの夜更けの美しい月を恋しく思い出すに違いない」という切ない心境には、迫りくる暗闇の恐怖と、退位を決意せざるを得ない無念さが静かに満ちています。
作者である三条院は、36歳で即位した天皇です。在位中は内裏の火災や眼病による視力の低下に見舞われるなど、多くの困難を経験しました。また、摂政・関白として大きな権力を持った藤原道長との関係にも苦心したことが知られています。その一方で和歌を愛し、月や四季の風景に心を寄せる繊細な感性を持っていました。この歌からも、静かな情趣を味わう豊かな心がうかがえます。
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