歌人に会える百人一首
二条院讃岐
意味
私の袖は潮干のときも見えない沖の石のように、人に知られることはないけれども、涙で濡れて乾く暇もない。
解説
この歌は、「寄石恋」という題で詠まれた一首です。人知れず恋に悩む心を、潮が引いても姿を見せない沖の石にたとえています。誰にも気づかれない恋であっても、袖は涙で濡れ続けて乾く暇がありません。表には出せない思いを静かに抱え込む切なさが、簡潔な言葉の中に深く表現されています。
作者である二条院讃岐は、二条院や宜秋門院に仕えた女房歌人で、式子内親王と並び称された和歌の名手です。晩年には父や兄たちを戦乱で失い、自らも出家しました。そうした経験もあってか、表に現れない心の痛みや孤独を詠むことに優れ、この歌にも内に秘めた感情を見つめる繊細な人柄がうかがえます。
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