歌人に会える百人一首
参議雅経
意味
吉野の山に、秋風が吹きわたり、夜更けになると、吉野の里は寒く、衣を打つ砧の音が寒々しく響く。
解説
この歌は、秋が深まる吉野の夜の情景を詠んだ一首です。山を吹き渡る秋風によって冷え込みが増すなか、里では砧を打つ音が響いています。その音は単なる生活の音ではなく、秋の寂しさや夜更けの冷たさをいっそう際立たせています。耳に届く音から季節の趣を描き出した、味わい深い作品です。
作者である参議雅経は、蹴鞠の名人として知られる一方、藤原俊成に学び、『新古今和歌集』の撰者にも選ばれた優れた歌人です。華やかな才能を持ちながらも、自然や人々の暮らしの中にある繊細な美しさを見つめました。この歌にも、静かな音に耳を澄ませて秋の情趣を味わう、雅経の洗練された感性が表れています。
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