百人一首解説

【百人一首 5番】奥山に…歌の現代語訳と解説!猿丸太夫はどんな人物なのか

奥山に紅葉踏み分けなく鹿の

声聞く時ぞ秋は悲しき

【読み】

おくやまにもみぢふみわけなくしかの

こゑ(え)きくときぞあきはかなしき

【5番】奥山に~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

奥深い山に紅葉を踏み分けやって来て、鹿の鳴き声を聞く時こそ、秋の悲哀が特に身に染みるものです。

【解説】

紅葉が散り積もる山奥にやって来て鹿の鳴き声(ここではオスの高い鳴き声で、メスを求めて呼ぶ声)が聞こえると、秋の哀愁が相まってより一層「物悲しい」「人恋しい」という感情が表れています。

古来から既に「秋は悲哀を感じさせる季節」という認識があったのですね!

猿丸太夫とは、どんな人物??

三十六歌仙の一人です。

猿丸太夫という名前は公的資料には登場せず、古今和歌集や鴨長明の方丈記等にわずかに名前が記されているのみで、実在さえ疑われているそうです。

聖徳太子の孫説、天武天皇の孫説、柿本人麻呂と同一人物説など、出自については今なお多くの伝説があります。

まとめ!

上の句 奥山に紅葉踏み分けなく鹿の
下の句 声聞く時ぞ秋は悲しき
歌人 猿丸太夫(不明)
決まり字 おく
決まり字数 2
収載和歌集 古今和歌集
「秋の悲哀」と「鹿の求愛の声」から「寂しさや人恋しさ」を見事に表現した歌ですね!

それにしても、なぜ秋は物悲しいのでしょうか?

落葉の季節だから?

これから寒くなっていくから!?