百人一首解説

【百人一首 63番】今はただ…歌の現代語訳と解説!左京大夫道雅はどんな人物なのか

今はただ 思ひ絶えなむとばかりを

人づてならで 言ふよしもがな

【読み】

いまはただ おもひたえなむとばかりを

ひとづてならで いふよしもがな

【63番】今はただ~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

逢って頂けない今となっては、あなたへの想いを諦めてしまおうということだけを、人づてではなく、直接逢って伝える方法があればいいのに。

【解説】

「今はただ」は、今となってはもうという意味です。

「思ひ絶えなむ」は、想いを諦めてしまおう、断ち切ってしまおうという意味です。

「とばかりを」は、〜ということだけをという意味です。

「人づてならで」は、間に人を介さずにという意味です。

「言ふよしもがな」は、言う方法があればいいのにという意味です。

どうにでも出来ない悲しい恋をしてしまって詠んだ歌です。

左京大夫道雅とは、どんな人物??

本名:藤原道雅(ふじわらのみちまさ)。

内大臣だった藤原伊周(これちか)の息子。

幼少期の頃に父親が失脚。さらに20代前半頃に、この歌に関する恋愛事件で三条院の怒りを買い、死ぬまで不遇の時代が続いたと言われています。

素行も悪かったため「悪三位」という呼び名がつけられていたほどです。

まとめ!

上の句 今はただ 思ひ絶えなむとばかりを
下の句 人づてならで 言ふよしもがな
歌人 左京大夫道雅(993~1054年)
決まり字 いまは
決まり字数 3
収載和歌集 後拾遺和歌集
この歌は、左京大夫道雅の実際の恋の歌です。

親の反対よって、悲しい別れを選択するしかなかった男(左京大夫道雅)がその心情を詠んだものです。

その相手が三条院の皇女、当子(とうし)内親王だったのです。

当子は、出家しまもなく病死しました。三条院の反対がなければもしかしたら、もう少し違う人生があったのかもしれませんね。