百人一首解説

【百人一首 85番】夜もすがら…歌の現代語訳と解説!俊恵法師はどんな人物なのか

夜もすがらもの思ふころは明けやらで

ねやのひまさへつれなかりけり

【読み】

よもすがらものおもふ(う)ころはあけやらで

ねやのひまさへ(え)つれなかりけり

【85番】夜もすがら~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

一晩中、(つれないあなたのことを)物思いするこの頃は、なかなか夜が明けてくれず、(光が入ってこない)寝室の隙間さえつれなく思われます。

【解説】

男性である俊恵法師が、『待っても訪れてくれない男性を想う女性』の立場で詠った歌。

つれない相手を想うと夜がとても長く感じてしまう!

そして、「ねや(=寝室)」の「ひま(=戸の隙間など)」さえも冷たく感じてしまう!

切ない女の感情を見事に詠い上げました!!

俊恵法師とは、どんな人物??

平安時代末期の僧であり歌人です。

若い頃から東大寺の僧となったためか、百人一首などでは俊恵法師と呼ばれています。

東大寺にある俊恵の部屋は当時『歌林苑』と呼ばれ、多くの歌人が集まり歌合を行う場所でした。

これらの活動は衰退しつつあった当時の歌壇に良い刺激を与えました。

現在知られている中でも千百首もの歌を詠んでいますが、その多くは40歳以降の作品だそうです。

まとめ!

上の句 夜もすがらもの思ふころは明けやらで
下の句 ねやのひまさへつれなかりけり
歌人 俊恵法師(1113~1191年)
決まり字 よも
決まり字数 2
収載和歌集 千載和歌集

いつの時代も『待つ立場』は切ない!

「ねやのひま(寝室の隙間)」を擬人化して、つれない相手を想う気持ちがより巧妙に表現されていますね。