嘆けとて月やはものを思はする
かこち顔なるわが涙かな
【読み】
なげけとてつきやは(わ)ものをおもは(わ)する
かこちがほ(お)なるわがなみだかな
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【86番】嘆けとて~ 現代語訳と解説!
【現代語訳】
「嘆け。」と月が物思いをさせるのでしょうか。いやそうではない。月のせいだという顔をして、私の涙が落ちることよ。
【解説】
作者 西行法師の、月を『擬人化』しながら、心情を巧く表現した歌ですね。
「やは」は反語表現で、『いやそうではない』という意味。
このあたりも上手いです!作者の『隠しきれない切ない恋心』が伝わってきます。
西行法師とは、どんな人物??
平安時代末期から鎌倉時代初期の武士であり僧、歌人です。
西行は藤原秀郷の系譜にあたる裕福な家に生まれましたが、23歳の時に出家して真言宗の僧となりました。
出家後は気の向くままに旅に出るようになり、各所で歌を詠みました。
巡礼も兼ねた西行の旅路は中四国や奥州など、本州全土に迫るものでした。
歌人としての在り方は松尾芭蕉さえ影響を受けたそうです。
今でも日本各地に西行の名がついたスポットがあるそうですよ。
まとめ!
上の句 | 嘆けとて月やはものを思はする |
---|---|
下の句 | かこち顔なるわが涙かな |
歌人 | 西行法師(1118~1190年) |
決まり字 | なげけ |
決まり字数 | 3 |
収載和歌集 | 千載和歌集 |
月のせいにして、隠したくても隠し切れない恋心!
西行が出家を決心したのは、過去に『叶わぬ恋』の経験があったからかもしれませんね!
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