百人一首解説

【百人一首 97番】来ぬ人を…歌の現代語訳と解説!権中納言定家はどんな人物なのか

来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに

焼くや藻塩の身もこがれつつ

【読み】

こぬひとをまつほのうらのゆう(ふ)なぎに

やくやもしほ(お)のみもこがれつつ

【97番】来ぬ人を~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

いくら待っても来ない人を待ち、松帆の浦の夕凪に焼く藻塩が焦げるように、我が身も(心も)焦がれています。

【解説】

夕凪の静かな時の流れの中で、百人一首100首を選んだ張本人「藤原定家」が遠い昔の「恋心」を思い出し詠んだ歌とされています。

「松(帆)」「待つ」「(藻塩の)焦がれ」「(恋心が)焦がれ」という風に『さすが!大歌人!』と思わせる掛詞が非常に印象的ですね。

権中納言定家とは、どんな人物??

平安時代末期から鎌倉時代初期の公家であり歌人です。

御子左流という歌道の大家的な存在であり、永く慕われていました。

新古今和歌集や新勅撰和歌集の編纂に携わったほか、小倉百人一首も撰じました。

また、源氏物語や土佐日記の注釈にも尽力したりと、日本文学に多大に貢献した人物といえますね。

まとめ!

上の句 来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに
下の句 焼くや藻塩の身もこがれつつ
歌人 権中納言定家(1162~1241年)
決まり字 こぬ
決まり字数 2
収載和歌集 新勅撰和歌集
百人一首の生みの親『藤原定家』の情熱的かつ技術的な歌!

「夕凪」「藻塩焼き」の情景には哀愁までも感じられますね。

100首中43首が「恋」の歌であることからも、定家が「恋歌」に特別な想いを持っていたことがうかがえます。