百人一首解説

【百人一首 99番】人もをし…歌の現代語訳と解説!後鳥羽院はどんな人物なのか

人もをし人もうらめしあぢきなく

世を思ふ故にもの思ふ身は

【読み】

ひともをしひともうらめしあぢきなく

よをおもふ(う)ゆゑ(え)にものおもふ(う)みは

【99番】人もをし~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

人が愛おしくもあり、恨めしくもある。この世がおもしろくないと思うがために、もの思いにふける我が身であります。

【解説】

当時、作者の後鳥羽院は鎌倉幕府(武士)の勢力が増強されていく現状に不安を持っていました。

朝廷と幕府、、、世の中の行く末を悩みながら詠ったとされています。

「をし」は「愛おしい」を指します。

人への「愛情」と「恨み」が渦巻いた、時代の分かれ目の君主ならではの歌ではないでしょうか。

後鳥羽院とは、どんな人物??

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて即位していた天皇です。

先代にあたる安徳天皇は源平合戦の終盤に入水崩御しました。

この際に、三種の神器の一つである宝剣が失われたため、後鳥羽天皇の即位は神器が欠けたまま行われたそうです。

これがコンプレックスとなり、後鳥羽院は終生、権力に執着したのではないでしょうか。

まとめ!

上の句 人もをし人もうらめしあぢきなく
下の句 世を思ふ故にもの思ふ身は
歌人 後鳥羽院
決まり字 ひとも
決まり字数 3
収載和歌集 続後撰和歌集
後鳥羽院は、この歌を詠んだ約9年後に「承久の乱」の結果、隠岐へ島流しとなってしまいます。

よって、これが後鳥羽院の無念な「最期」の歌となりました。