百人一首解説

【百人一首 54番】忘れじの…歌の現代語訳と解説!儀同三司母はどんな人物なのか

忘れじの 行く末までは難ければ

今日を限りの 命ともがな

【読み】

わすれじの ゆくすえまではかたければ

きょうをかぎりの いのちともがな

【54番】忘れじの~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

いつまでもずっとあなたのことを想っていると言うけれど、人の想いは変わっていくものです。今の幸せが永遠に続くわけないのですから。こんなにも幸せな今日の間に、命が尽きてしまえばいいのに。

【解説】

「忘れじの」は、いつまでもあなたを忘れないという意味です。

「行く末」は、遠い将来をさします。

「難ければ」は、難しいことなのでという意味です。

「命もがな」は、命であればいいなぁという意味です。

結婚したばかりで、旦那さんから幸せな言葉を聞いたけれど、それがずっと続くわけではないので、今ここで死んでしまいたいという歌です。

儀同三司母とは、どんな人物??

高階成忠の娘。名前は貴子です。

中関白藤原道隆の妻です。

儀同三司母は、「儀三司に同じ」という意味で、三司は、「太政大臣、左大臣、右大臣」をさします。

息子の伊周が准大臣の待遇だったので、「儀同三司の母」と呼ばれていました。

夫が亡くなった後、息子は左遷されますが、同行することも許されず、病で40代で亡くなりました。

まとめ!

上の句 忘れじの 行く末までは難ければ
下の句 今日を限りの 命ともがな
歌人 儀同三司母
決まり字 わすれ
決まり字数 3
収載和歌集 新古今和歌集
平安時代の貴族は、一夫多妻制で通い婚でした。

夫が通わなくなると離婚になるので、幸せなうちに死にたいという気持ちもわからなくはないですよね。

夫が通わなくなるとお金も入らず、生活もできない状態の時代でした。

きっと今の時代よりも不安だったでしょうし、その不安は的中してしまったようです。