瀬を早み岩にせかるる滝川の
われても末にあはむとぞ思ふ
【読み】
せをはやみいわにせかるるたきがわの
われてもすえにあはむとぞおもう
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【77番】瀬を早み~ 現代語訳と解説!
【現代語訳】
瀬が早いために岩に遮られる滝川とおなじように、たとえ一度は別れ別れになっても、行末はかならずまた逢おうと思う。
【解説】
山の中を激しく流れる川の水が、岩に当たって堰き止められ、岩の両側から2つに分かれて流れ落ち、再びひとつに合流して流れていく。その様子を離ればなれになった恋人への想いに重ねて詠う激しい一首です。
厳しい試練を乗り越えても必ず逢おう、という気持ちが込められており、激しく燃えさかる情熱と、強烈な決意のようなものが感じられます。
崇徳院とは、どんな人物??
鳥羽天皇の第一皇子で、1123年に5歳で天皇の位を譲り受けました。
18年の在位の後に近衛天皇に譲位し、鳥羽上皇に対し新院と呼ばれました。鳥羽上皇の死後、後白河天皇との間で、後の天皇にどちらの皇子を立てるかで対立し、戦となります。
崇徳院が破れ、讃岐に流され、45歳で没しました。
在位中に藤原顕輔に『詞花和歌集』を編纂させています。
まとめ!
上の句 | 瀬を早み岩にせかるる滝川の |
---|---|
下の句 | われても末にあはむとぞ思ふ |
歌人 | 崇徳院(1119~1164年) |
決まり字 | せ |
決まり字数 | 1 |
収載和歌集 | 詞花和歌集 |
昨今、アニメや映画などで取り上げられ、有名すぎるほど有名になった短歌。
恋の歌にも詠めるけど、争いに敗れて住み慣れた京都を離れなければならない崇徳院の激情を恋の歌になぞらえて歌い上げられている。
たった31文字だけど、複数の意味が込められる歌ってすごいよね。
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