歌人に会える百人一首
文屋朝康
意味
白露に風がしきりに吹き付ける秋の野は、糸を通してつなぎ留めていない玉(真珠)が散っているようだ。
解説
この歌は、一瞬のきらめきを驚異的な映像美で切り取った作品です。 作者の文屋朝康は、22番・文屋康秀の息子。父親譲りの天才的な才能を持ちながらも、生涯出世には恵まれなかった「不遇の天才」でした。
激しい秋の風に吹かれ、草の上の白露がこぼれ落ちる光景を、朝康は「紐の切れた真珠が飛び散る瞬間」としてスローモーションのように捉えています。風に吹き飛ばされる儚い露の命は、厳しい世間に翻弄される彼自身の境遇そのものだったのかもしれません。
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