歌人に会える百人一首
恵慶法師
意味
幾重にもつる草が生い茂る屋敷で寂しい所に人が訪れてくることはありませんが、秋はたしかにやって来たのですね。
解説
この歌は、かつては栄華を極めながら今は荒れ果てた河原院に秋が訪れた情景を詠んだものです。生い茂る葎や寂しげな風景の中に、移ろいゆく世の無常や秋のもの悲しさが感じられ、繁栄もやがて衰えていくという人生の哀感が静かに表現されています。
作者の恵慶法師は、河原院に住んでいた安法法師と親しく、この邸宅にたびたび出入りしていました。そのため歌には単なる風景描写にとどまらず、荒廃した屋敷の趣を味わい、そこに美しさや詩情を見いだす繊細な感性が表れています。衰えゆくものの中にも趣を感じ取る、風雅を愛した恵慶法師らしい一首といえるでしょう。
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