歌人に会える百人一首
藤原実方朝臣
意味
これほどまでに恋焦がれているとあなたに言えるでしょうか。伊吹山のさしも草ではありませんが、それほどまでとはあなたはご存知ないでしょう。私の(お灸のように熱い)燃える想いを。
解説
この歌は、「これほどまでにあなたを想っているのに、その気持ちを伝えられない」という切ない恋心を詠んだ一首です。「さしも草」は、燃え広がる様子から恋の情熱のたとえとして用いられています。胸の内では激しく燃えるような思いが募っているにもかかわらず、それを相手に打ち明けることができないもどかしさが巧みに表現されています。抑えきれない情熱と秘めた恋心が印象的な恋の歌です。
作者の藤原実方は、平安中期に活躍した歌人で、中古三十六歌仙の一人に数えられます。宮廷社会で活躍する一方、陸奥国へ赴任したことでも知られています。華やかで洗練された作風を得意とし、とりわけ恋の歌には繊細な感情表現が見られます。この歌からも、相手への強い思いを抱えながら、それを言葉にできない心の揺れが伝わってきます。
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