歌人に会える百人一首
大納言公任
意味
滝の音が聞こえなくなってから久しくなりますが、その名声は今も流れ伝わっています。
解説
この歌は、かつて美しい滝が流れていた大覚寺の滝殿跡を訪れ、その滝の音はすでに聞こえなくなったにもかかわらず、その名声だけは今なお人々の間に語り継がれていることを詠んだものです。目の前の景色だけでなく、その場所に刻まれた歴史や記憶に思いを巡らせる、公任らしい知的で格調高い一首となっています。
作者の藤原公任は、「三舟の才」と称されるほど学識と芸術に優れた文化人でした。この歌にも、失われたものの価値を見抜き、その余韻を味わう教養人としての感性が表れています。一方で、自らの才能や家柄への自負も強く、時に軽率な発言で反感を買うこともありました。栄華と名声に囲まれて生きた公任だからこそ、「姿は消えても名は残る」というこの歌に、特別な思いを重ねていたのかもしれません。
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