時雨の百人一首

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大弐三位歌人に会える百人一首
大弐三位

ねこ

意味

有馬山に近い猪名の笹原に風が吹きそよそよと音が響きわたります。さぁそうですよ。私があなたのことを忘れられるでしょうか。いいえ忘れられません。

解説

この歌は、久しぶりに連絡をよこした相手から「もう私のことを忘れてしまったのではないか」と疑われたことに対し、「忘れるはずがありません」と優しく、しかしはっきりと答えた歌です。有馬山の笹原を吹き抜ける風の音を「ささ」と聞きなし、「そうですよ(さあ)」という返答につなげる技巧的な表現には、教養と機知が感じられます。

作者の大弐三位は、母・紫式部譲りの文学的才能を持ち、中宮彰子に仕えた後には天皇の乳母として高い地位にまで上り詰めました。この歌にも、感情に流されて恨み言を述べるのではなく、余裕と品格をもって相手の不安を受け止める彼女の人柄が表れています。相手を安心させながらも、自分の変わらぬ思いをさりげなく伝えるところに、聡明で気品ある女性としての魅力が感じられます。

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