歌人に会える百人一首
権中納言定頼
意味
夜がほんのり明けてくる頃、宇治川の朝霧が途切れ途切れになり、霧の絶え間のあちこちから現れわたる瀬々の網代木よ。
解説
この歌は、冬の早朝の凍てつく空気と、朝霧が晴れていく一瞬のドラマを鮮やかに切り取った最高峰の叙景歌です。川面を覆う濃い霧が風で途切れ、その切れ間から宇治川の冬の風物詩である「網代木」が次々と白々と浮かび上がってくる。静から動へと移ろう自然の息遣いが、極めて端正に描かれています。
作者の藤原定頼は、大文化人・藤原公任の息子。小式部内侍にやり込められた逸話からお調子者のイメージもありますが、芸術の才能は超一流です。父親譲りの洗練された感性で、冬の宇治の寒冷な美しさをドラマチックに描き出しています。
詳しくはこちら