歌人に会える百人一首
相模
意味
恨む気力さえなくなり、涙に濡れて乾かすひまもない着物の袖さえあるのに、ましてこの恋のせいで浮名が立って私の評判が朽ちてしまうことは口惜しいことです。
解説
この歌は、つれない恋への悲しみと、自らの評判を気遣う複雑な心情を詠んだ一首です。当時の女性にとって噂は社会的な評価に大きく関わるものでした。相手が誠意を見せないばかりか、その恋が人々の噂となって広まってしまうことへの嘆きが込められています。悲しみだけでなく、自らの立場や名誉を守ろうとする強い意識もうかがえる、印象深い恋の歌です。
作者の相模は、平安時代中期を代表する女流歌人の一人です。夫の任地であった相模国にちなみ「相模」と呼ばれ、多くの優れた恋の歌を残しました。鋭い観察眼と率直な感情表現を持ち味とし、歌合でも高く評価されています。この歌にも、恋する心の苦しさを生き生きと描き出す相模らしい魅力が表れています。
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