歌人に会える百人一首
周防内侍
意味
春の夜のような夢ぐらい儚いあなたの戯れの手枕のために何の甲斐もない浮名が立つことが惜しいのです。
解説
この歌は、宮廷の夜会で「枕がほしい」と漏らした彼女に、御簾の下からすっと手を差し伸べた藤原忠家に対して、その誘いを即興でやんわりと断った一首だと伝えられています。「春の夜の夢のように儚いあなたの戯れのせいで、根も葉もない噂が立つのは困ります」と、ユーモアを交えつつ凛とした態度で切り返す機転の早さが光ります。
作者の周防内侍は、平安後期を代表する女流歌人の一人です。宮廷に仕えながら多くの和歌を残し、勅撰和歌集にも数多く入集しました。機知に富んだ歌や洗練された表現に優れ、同時代の人々から高く評価されています。この歌にも、場の雰囲気を和らげながら巧みに応じる、周防内侍の優れた歌才がよく表れています。
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