歌人に会える百人一首
能因法師
意味
嵐が吹き下ろす三室山のもみじは、龍田川の川面を覆い尽くして、まるで錦織物のように彩っている。
解説
この歌は、後冷泉天皇が催した宮中の歌合において、「紅葉」というお題で詠まれた一首です。「嵐が吹き下ろす三室山の紅葉が龍田川の川面に散り乱れ、まるで極彩色の錦織物のようだ」と、目の前に広がる鮮烈な色彩を壮大に描き出しています。
作者である能因法師は、学問を修めながらも26歳で出家し、全国の歌枕(歌の名所)を旅して巡った、情熱的な「数寄者 (風流人)」です。完璧な歌を生み出すためなら、京都に居ながら旅帰りを装ってわざと日焼けするほどの強いこだわりとユーモアを持っていました。一方で、干ばつに苦しむ民のために雨乞いの歌を捧げて雨を降らせたという伝説もあり、粋で、人間味にあふれた愛すべき人柄でした。
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