歌人に会える百人一首
殷富門院大輔
意味
あなたに見せたい。私の血の涙に濡れて色が変わってしまったこの袖を。あの雄島の漁師の袖でさえ、ひどく濡れても色は変わらないのに。
解説
この歌は、恋の苦しみが極限に達した心情を詠んだ一首です。恋しい相手に、自分の涙で濡れ続けた袖を見せたいと語り、その悲しみの深さを表現しています。雄島の漁師の袖は海水で濡れても色は変わらないのに、自分の袖だけは色が変わるほど涙に濡れたという対比に、募る恋の切なさが込められています。
作者である殷富門院大輔は、後白河天皇の皇女である殷富門院に仕えた女房歌人です。数多くの歌を詠んだことから「千首大輔」とも呼ばれました。感情を率直にぶつけるのではなく、巧みな表現に託して深い思いを伝えることに優れ、この歌にも繊細で情熱的な人柄がうかがえます。
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