歌人に会える百人一首
前大僧正慈円
意味
おこがましいけれども、このつらい悲しみに満ちた現世を生きる人々を私の袖で包んであげたい。比叡山に住みはじめた私の墨染の袖で。
解説
この歌は、苦しみの多い世を生きる人々への慈しみを詠んだ一首です。天災や争いが続く不安な時代の中で、自らの墨染めの袖で人々を包み込みたいと願っています。「おこがましいけれども」とへりくだりながらも、誰かの苦しみに寄り添いたいという強い思いが込められており、深い慈悲の心が感じられます。
作者である前大僧正慈円は、幼くして出家し、比叡山延暦寺の天台座主を四度務めた名僧です。また、『愚管抄』を著した知識人としても知られています。混乱する時代を冷静に見つめながら、人々の平安を願い続けた人物であり、この歌にも世の苦しみに心を痛める慈円の温かな人柄が表れています。
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