百人一首解説

【百人一首 16番】たち別れ…歌の現代語訳と解説!中納言行平はどんな人物なのか

たち別れいなばの山の峰に生ふる

まつとし聞かば今帰り来む

【読み】

たちわかれいなばのやまのみねにおふ(う)る

まつとしきかばいまかへ(え)りこむ

【16番】たち別れ~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

あなたとはここでお別れになります。しかし、因幡山の峰に昔からある松のようにずっとこの場所で待っていてくれるのなら、私はいつでもすぐに参ります。

【解説】

『いなばの山』は彼の配属先である因幡のことですね。

『まつ』は山に生えている”松”のことですが、同時に”待つ”という意味も含んでいますね。

中納言行平とは、どんな人物??

平城天皇の孫にあたる高官であり、優れた歌人でした。

帝の警護を行う部署についた後は、地方官として因幡(現在の鳥取)に派遣されました。

880年には現在確認されている中で最古の歌合を行ったとされています。また、881年には在原氏のための教育施設である奨学院を創設するなど学問の発展にも貢献されました。

まとめ!

上の句 たち別れいなばの山の峰に生ふる
下の句 まつとし聞かば今帰り来む
歌人 中納言行平(818~893)
決まり字 たち
決まり字数 2
収載和歌集 古今和歌集
いつの時代も単身赴任はつらいものです。

彼の転勤が決まったころ、息子たちは10歳前後だったとされています。

もしかしたら妻や愛人ではなく、そんな子供たちを想って詠んだ歌かもしれませんね。