村雨の露もまだひぬ槙の葉に
霧立ちのぼる秋の夕暮
【読み】
むらさめのつゆもまだひぬまきのはに
きりたちのぼるあきのゆふ(う)ぐれ
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【87番】村雨の~ 現代語訳と解説!
【現代語訳】
にわか雨が降った後、その露もまだ乾いていない槙の葉に、霧が(白く)立ち上っている秋の夕暮れだなぁ。
【解説】
「村雨」は『にわか雨』を、「ひぬ」は『乾いていない(干ぬ)』を意味し、「槙」とは『杉や檜(ひのき)などの総称』を指します。
作者 寂蓮法師は淡々と変わりゆく『秋の自然・風景』を詠みました。
秋と言えば『鮮やかな紅葉』に注目しがちですが、彼はあえて『雨やそれにより濡れた葉、霧』などに着目したのでした。
寂蓮法師とは、どんな人物??
平安時代末期から鎌倉時代初期の僧であり歌人です。
はじめは役人となりましたが、30代で出家し同時に歌道へ進みました。
寂連は御子左家の筆頭歌人として活躍し、勅撰和歌集には彼の歌が計117首収められているそうです。
新古今和歌集の撰者にも選ばれましたが、完成する前に他界しました。
後鳥羽院は寂連を絶賛しており、『真実の堪能』と称しました。
また、寂連は書家としても有名で現存している書跡は国宝に指定されています。
まとめ!
上の句 | 村雨の露もまだひぬ槙の葉に |
---|---|
下の句 | 霧立ちのぼる秋の夕暮 |
歌人 | 寂蓮法師(1139~1202年) |
決まり字 | む |
決まり字数 | 1 |
収載和歌集 | 新古今和歌集 |
秋の『物悲しくも洗練された情景』をしみじみと感じ取ることができますね。
あなたも雨上がりの夕暮れ時に、味わいながらこの歌を詠んでみましょう!
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