わが袖は汐干に見えぬ沖の石の
人こそ知らね乾く間もなし
【読み】
わがそではしほ(お)ひにみえぬおきのいしの
ひとこそしらねかは(わ)くまもなし
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【92番】わが袖は~ 現代語訳と解説!
【現代語訳】
私の袖は、「引き潮の時」にも隠れてしまって見えない沖の石のように、他の人は知らないでしょうが、涙で濡れて乾く暇もありません。
【解説】
ある時、作者「二条院讃岐」に出された歌合せのお題『寄石恋(石に寄せる恋心)』。
この超難題に彼女はこの歌を詠みました。
海の潮が引いても海面から顔を出さない沖の「石」を例えに出し、涙で濡れ袖が乾く間も与えないという『切ない乙女の恋心』を見事に詠いあげました。
実際、当時もこの歌は非常に高い評価を受けたそうですよ!
二条院讃岐とは、どんな人物??
平安時代末期から鎌倉時代初期の歌人です。
父はなんとあの妖怪『鵺』を退治した、源頼政です。
二条天皇の頃、内裏として出仕しておりその中で行われた歌会で歌人としての評価を得ていったようです。
役人としての彼女の人生は確かな資料がないため、諸説あるようですが、激動の時代のなかでも歌人として歌を詠み続けたそうです。
晩年は出家したそうですので、慈円のように僧として人の世を見つめていたのでしょう。
まとめ!
上の句 | わが袖は汐干に見えぬ沖の石の |
---|---|
下の句 | 人こそ知らね乾く間もなし |
歌人 | 二条院讃岐 |
決まり字 | わがそ |
決まり字数 | 3 |
収載和歌集 | 千載和歌集 |
歌人「讃岐」の斬新かつ巧妙な恋歌!
この歌をきっかけに彼女には『沖の石の讃岐』という異名が付いたとか!?
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