時雨の百人一首

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Translated by WILLIAM N. PORTER
English Audio:LibriVox

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良暹法師りょうぜんほうし

さびしさに
宿やどを立たち出いでて
ながむれば
いづずくも同おなじ
秋あきの夕ゆう暮ぐれ

良暹法師

いつくもお
なしあきの
ゆふくれ

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さ

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70番歌
さびしさに 宿やどを立たち出いでて ながむれば
いづずくも同おなじ 秋あきの夕ゆう暮ぐれ
作者:良暹法師りょうぜんほうし(生没年不詳)
出典:後拾遺和歌集 秋
現代語訳
寂しさに耐えかねて庵から出てみたけれど、どこも同じように寂しい秋の夕暮れであることよ。
解説
『後拾遺和歌集』の詞書は題知らずとなっていますが、
『詞花和歌集』の詞書に「大原にすみはじめけること」とあり、この歌は、比叡山の僧侶だった良暹法師が、京都の大原で隠棲し始めたときに詠まれたとされています。大原は自然が多く、人は少ない場所です。人寂しくなって、庵を飛び出したのに、寂寥とした秋の夕暮れに風情を感じたという心情の変化が詠まれています。この歌以降「秋の夕暮れ」を結句とする歌が流行しました。
どんな人?
良暹法師は、比叡山延暦寺の僧侶となり祇園社ぎおんしゃ(現在の八坂神社)の別当を務めた後、大原の里に人知れず暮らしたといわれています。
品詞分解と文法
歌のイメージ
良暹法師の歌のイメージ

この画像は、William N. Porter氏が1909年にイギリスで出版した百人一首の英訳本『A Hundred Verses from Old Japan』の挿絵を元にAdobe Firefly(生成AI)で色を付けて、アレンジしたイメージです。

良暹法師の略年表
1038年
権大納言師房家歌合などに出詠
没年不詳
康平年間(1058〜1065年)頃に死去したとする説がある
備考
  • 比叡山の僧として祇園別当を務める
  • 大原に隠棲し、晩年は雲林院に住んだといわれる
付録
三夕の歌(さんせきのうた)
新古今和歌集に収められている「秋の夕暮れ」で終わる次の3首が「三夕の歌」として称えられています。

寂蓮

原文

さびしさは その色いろとしも なかりけり
まき立たつ山やまの 秋あきの夕暮ゆうぐれ 『新古今和歌集』寂蓮

現代語訳

寂しさを感じさせるのは、必ずしもその色(紅葉の色)であるわけではないのだなあ。槙が立つ山の(無彩色の)秋の夕暮れに寂しさを感じる。

西行

原文

心こころなき 身みにもあはれは 知しられけり
鴫しぎ立たつ沢さわの 秋あきの夕暮ゆうぐれ 『新古今和歌集』西行

現代語訳

出家して情緒を理解する心を捨てた私なのに、 鴫しぎが飛び立った後の沢に訪れる秋の夕暮れの静寂にしみじみと心を動かされることよ。

藤原定家

原文

見渡みわたせば 花はなも紅葉もみぢもなかりけり
浦うらの苫屋とまやの 秋あきの夕暮ゆうぐれ 『新古今和歌集』藤原定家

現代語訳

見渡せば花も紅葉も見あたらない。 苫とまぶきの粗末な小屋があるだけの海辺の秋の夕暮だけが目に映る。

歌川国芳の『百人一首之内』
歌川国芳による浮世絵
British Museum, Public domain, via Wikimedia Commons

江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。
百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。