名にしおはば逢坂山のさねかづら
人に知られでくるよしもがな
【読み】
なにしおはばおうさかやまのさねかづら
ひとにしられでくるよしもがな
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【25番】名にしおはば~ 現代語訳と解説!
【現代語訳】
逢坂山の小夜葛(さねかづら)よ、その名が本当なら誰にも知られず愛しいあの人に合わせてくれ。お前の蔓を手繰り寄せてあの人がやってくるならどんなに良いことか
【解説】
『逢』という字は、愛しい人にめぐりあうという意味を持ちます。
『小夜葛(さねかずら)』はマツブサ科の植物ですが、その字から”恋人との一夜”を表します。
また、歌中の「くる」は『来る』と『繰る』の双方の読み方で捉えることができ、特に『繰る』が植物であるさねかづらとの関連性を高めています。
この歌は実在する地名や植物をうまく遣いながら、自分のもどかしい気持ちを表現していますね。
三条右大臣とは、どんな人物??
平安時代中期の役人、歌人です。
19歳の頃に宮中に仕えてから、東北や東海地方の管理などを行っていたそうです。
最終的には朝廷の最高機関である参議に任命されました。
それらの傍ら、紀貫之らのスポンサーも行っていたそうです。
また、和歌に限らず雅楽にも熱心に行っていたそうです。
まとめ!
上の句 | 名にしおはば逢坂山のさねかづら |
---|---|
下の句 | 人に知られでくるよしもがな |
歌人 | 三条右大臣(873~932) |
決まり字 | なにし |
決まり字数 | 3 |
収載和歌集 | 後撰和歌集 |
解説でも書いたように、この歌は様々な手段で自分の秘めた気持ちを表しています。
ただし、さねかづらは古くから男性用の整髪料(ワックス)として使われていたこともあり、『美男葛』という別名もあるそうです。
それを知りながらあえてこの語句を使ったとするならば、読み手は自分の容姿に自信を持ちつつ、あえて遠回しに相手を誘っているのかもしれませんね。
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