天つ風雲のかよひぢ吹きとぢよ
乙女の姿しばしとどめむ
【読み】
あまつかぜくものかよひ(い)ぢふきとぢよ
をとめのすがたしばしとどめむ
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【12番】天つ風~ 現代語訳と解説!
【現代語訳】
天の風よ、雲の通り道を吹き閉じてくれ。舞う女性(天女)たちの姿をあともう少しだけでも留めておきたい。
【解説】
収穫を祝う宮中の行事「豊明節会(とよあかりのせちえ)」の最中行われた乙女たちの舞を見た僧正遍昭(当時の良岑宗貞)が感激して詠んだ歌。
踊り子たちを「天女(すぐに天へ帰ってしまうという伝説がある)」に見立て、『雲の道を風が閉ざしてくれればなぁ』という願望が表れています。
僧正遍照とは、どんな人物??
三十六歌仙及び六歌仙の一人です。
仁明天皇に主席秘書として仕え天皇からも可愛がられますが、彼の崩御を機に出家し元慶寺をたてました。
歌風も出家前と後で大きく変化しており、出家前は情景描写を多く盛り込んだ歌を詠んでいたのに対し、出家後は物事を客観的にとらえた知的な歌を詠んでいます。
まとめ!
上の句 | 天つ風雲のかよひぢ吹きとぢよ |
---|---|
下の句 | 乙女の姿しばしとどめむ |
歌人 | 僧正遍照(816~890) |
決まり字 | あまつ |
決まり字数 | 3 |
収載和歌集 | 古今和歌集 |
出家前の作者が詠んだ歌ですが、百人一首の中だけでこれを読むと
「僧侶であるにも関わらず僧正遍昭が女に関心を持っている歌を詠んだ!」と一瞬勘違いしてしまいますね!
皆さん安心してください!出家前ですよ!
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