歌人に会える百人一首
中納言朝忠
意味
男女が逢うことが全くなかったら、人のつれなさを恨んだり、自分の惨めさを嘆くこともなかったのに。
解説
この歌は、「会わなければよかったと思うほど辛いのに、それでも忘れられない恋」を詠んだ一首です。一度は心を通わせた相手との思い出がかえって苦しみを深くし、未練と後悔の間で揺れる心情が表現されています。
中納言朝忠は、三条右大臣・藤原定方の五男として生まれ、和歌だけでなく笙の名手としても知られました。優雅な文化人でありながら、人の心の機微を繊細に捉える感性を持っていたようです。
この歌からは、恋の喜びだけでなく、その後に残る切なさや未練まで見つめる情の深い人物像が浮かび上がります。忘れようとしても忘れられない気持ちを率直に歌に託す、繊細で人間味あふれる歌人だったのでしょう。
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