歌人に会える百人一首
後京極摂政前太政大臣
意味
こおろぎが鳴いている霜のおりる夜、寒い筵の上に自分の衣だけを敷いて、私はひとり寂しく寝るのだろうか。
解説
この歌は、秋の夜のひとり寝の寂しさを詠んだ一首です。霜の降りる寒い夜、こおろぎの声を聞きながら、自分の衣だけを敷いて眠る姿が描かれています。当時、「衣かたしき」は愛する人を失った後の孤独を象徴する表現でした。静かな情景の中に、大切な人の不在を痛感する深い悲しみが込められています。
作者である後京極摂政前太政大臣(九条良経)は、摂政・太政大臣にまで上りつめた公卿であり、優れた歌人でもありました。華やかな地位にありながら、和歌では繊細な感情を巧みに表現しています。この歌にも、亡き妻を思う素直な寂しさがにじみ、人を深く思う温かな人柄がうかがえます。
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