百人一首解説

【百人一首 19番】難波潟…歌の現代語訳と解説!伊勢はどんな人物なのか

難波潟短き葦のふしのまも

あはでこの世をすぐしてよとや

【読み】

なには(わ)がたみじかきあしのふしのまも

あは(わ)でこの世をすぐしてよとや

【19番】難波潟~ 現代語訳と解説!

【現代語訳】

難波潟の葦の節の間のように、短い間も貴方に逢わずこの世を過ごしてゆけとおっしゃるのでしょうか。

【解説】

美貌と知性を兼ね備え、恋多き作者 伊勢。

恋人の藤原仲平が他の女性に心変わりした時に彼女が詠んだ歌だとされています。

『恋人に短い時間でさえ会えないこと』を、現在の大阪の干潟「難波潟」に生えている『葦の節と節の間隔の短さ』で例えています。

恋多き伊勢ならではの「深い悲しみ」と「哀愁」を感じますね。

伊勢とは、どんな人物??

三十六歌仙の一人です。

古今和歌集などの勅撰和歌集には彼女の歌が多く採録されており、その多くは情熱的な心情を描いた恋歌だったそうです。

このことからわかるように、生涯で多くの男性と恋仲に合ったようで、当時の天皇やその息子とそれぞれ子供を生んだエピソードなどもあったそうです。

まとめ!

上の句 難波潟短き葦のふしのまも
下の句 あはでこの世をすぐしてよとや
歌人 伊勢(872~938)
決まり字 なにはが
決まり字数 4
収載和歌集 新古今和歌集
恋の歌も多い百人一首の中でも、女性の男性に対する「絶望」「寂しさ」「儚さ」を最も感じ取れる歌の一つと言えるでしょう。

質素な「葦」というチョイスも健気な伊勢の姿をイメージさせますね。